脳出血した中高年のための怪談100物語 → 鈴木誠の怪談100物語の タイトルで小説投稿サイト、アルファポリスと同時更新中です。 サイドバーに「アルファポリスリンク」へのリンクがあります。 広告

女優霊 監督 中田秀夫 1996年 日本

何本かあるのですけれど、私には、おそらく生涯何度も見続けるであろう映画があります。

それが「ニューシネマ パラダイス」だったり、「アラビアのロレンス」、「大脱走」、「七人の侍」あたりだと、それなりにカッコがつくのですが、私の場合は、どうも、あんまり体裁のよくない、ホラーだったり、カルトだったりする作品が好きです。

「女優霊」は私にとってのオールタイムホラーNo1作品です。

映画撮影所に現れる女優の幽霊、撮影したはずがないのに存在する謎のフィルム。放送されていないのにTVで見た記憶の古い映画、「女優霊」の作品全体に漂う不穏な空気は本物です。

本物というのはつまりつくりものではない、という意味です。

おまえまた、なにを言ってるんだ? と言われそうですが、私は特に霊能力があるわけではありませんが、子供の頃から何度か奇妙な経験をしています。その中には、霊能力者に家にきてもらってお祓いを受ける、という経験もあり、その時に経験した空気が「女優霊」の中にはあります。

ここまで読んできて、心配になってきた方もいるかと思いますので、あらかじめ書いておきますと、私は特定の宗教を信奉していたり、占いや霊能力等の超自然的な能力で生計をたてている人間ではありません。日頃からつきあいのある、そういった人たちもおりません。

46歳のただのおじさんです。

ただ、これって世の中のそちら側の出来事だよな、と思うしかない経験が何度かあり、映画「女優霊」は、たくさん見てきたホラー映画の中でもずば抜けて、リアルな感じがする作品である、と言いたいのです。

そういう点から見ると近年では映画「残穢(ざんえ)」がかなり近いけど、ちょっと違うというか、私には、わざと本物らしくしすぎないように加工している感じに見えました。あくまでホラー映画の枠の中にとどめておこうとしている、といいましょうか。

私にとって本物の霊現象というのは、不穏であり、関わった人を不安、不快にさせるものです。これはあくまで私自身が経験したものだけの話ですが。

「女優霊」の中で、霊感のある芸能事務所の女社長が、霊のいる撮影所を訪れ、なにも起きていないのに、その場の不穏さに気づいて、一人で取り乱して、そこから出ていく、という場面があります。なにも異常なことは起きていないので、画面で展開しているのは、ようするに女優さんの一人芝居なのですが、これが怖いのです。

実際、霊感のある人と一緒にいるとこんな経験をすることがあると思います。で、一緒にいると霊感のないはずの自分まで、不安な気持ちになったりします。

「女優霊」を観ているとずっとそんな気持ちに襲われます。

一つ私自身の体験を書きますね。

昔、まだ、中学か高校生の頃です。日曜日の昼間でした。特にすることもなく、私は家族と一緒にTVを眺めていました。

TVは以前放送した番組の再放送をしていました。

日本の十大ミステリーみたいな番組だったと思います。

私も含めてうちの家族はみんな、心霊やUFOといったオカルトものが好きなのです。

さて居間のTVの前で私はカーペットに寝転んでいるうちに、眠くなってきました。TVでは過去に起きた残虐事件として「津山30人殺し」を解説していました。一晩に村人30人が殺害された事件です。私はナレーターの声を聞いているうちにだんだん眠くなってきて、まぶたを閉じて、うつらうつらとしていました。あーあそう言えばこの事件って八墓村のモデルになった事件だよね、あー関係者はいまでも実際に生きておられるのか、へー。と、ぼんやりと考えていた私の心の中に、突然、冷たい手のようなものが突っ込んできたのです。それは、私の心の奥底めがけて、奥へ奥へどんどん入っていきます。冷たい棒で心の中をかきまわされているような感覚に襲われ、私は悲鳴をあげました。

「あああああああああああ」

突然、叫びだした私に家族は驚き、母親が慌てて私を抱きしめてくれました。

「あああああああああああああああああああああ」

悲鳴が止まりません。

私はなにかにとりつかれたように叫び続けました。

しばらくして、ようやく悲鳴が止んだと、私はひどく疲弊して肩で息をし、あえいでいました。涙がぽろぽろとこぼれました。

わけがわかりました。

家族は心配していましたが、いつの間にか寝ていた私が怖い夢を見て、うなされた、ということになっていました。

あの時の冷たい手の感覚はいまでも憶えています。

「女優霊」には、霊にとりつかれた少女が、けたたましく笑い続ける場面があります。

そのシーンを見ると、私はあの時の自分を思い出します。

私個人としては、あの時、なにか邪悪なものが、私の心に入ってきたんだと思っています。

「女優霊」に関して書くと、うる星やつら等で有名な漫画の高橋留美子が、怖い映画を聞かれたアンケートで「女優霊」と回答していたのをみて、この人はわかるんだな、と勝手に納得しました。

何度も書きますが、「女優霊」で描かれている不穏な感じは本物です。

あまりこういう文章ばかり書いていると、おかしな人だと思われそうな気もしますので、今日はここまでです。

私は怪談も好きですし、ホラー映画も観ますが、それとは別に本物はある、と思っています。

それは、確実にあります。

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