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100-11 「開催されない怪談会」 

100-11 「開催されない怪談会」

 

誠の高校時代の友達の中で、1番、変わってるのは間違いなくKだろう。

いろんなやつがいるけれど、Kは卒業するとすぐに地元の建設会社に就職した。

理由はなんとなく気になったから。

そこをすぐに辞めて、いきなり、オランダへと旅立った。

親しくしてた友達にも何も言わずに、急にオランダだ。

そのまま、3年間むこうで暮らして、ある日また予告なしで戻ってきた。

そしていまは地元の車の整備工場で働いている。

K がオランダでなにをしていたのかくわしくは誰も知らない。

本人も話そうとしない。

ただ、あっちで大麻を吸ったりはしたらしい。

Kいわく、日本では絶対できないことをいろいろ試してきたのだそうだ。

そしてKが言うには、

「俺はオランダで一生、忘れられない不思議な経験をした。

これだけは、俺以外、誰も体験したことないと言い切れる。

俺は呪いの親玉を見たんだ」

その不思議な経験とやらを、そこまで言うなら、話してみろと言うと、Kは、

「よし、じゃぁ、みんながいるところで一度だけ話してやる。

1度だけだぞ。

強烈すぎるからな。

へたに話すと命にかかわる」

と宣言した。

 

Kの話を聞くために、誠を含めた、友達一同が集まったその日、Kは約束の場所に姿を見せなかった。

約束の友達の家へむかう途中で、K自身がバイク事故に会って、病院に入院したのだ。

タイミングがタイミングなだけに、みんな、退いていた。

Kの話が本当にヤバくて禍を引き寄せたのかもしれない。

入院中も、仲間が見舞に行くたびに、Kは、その不思議な体験を話す会を開こう、と言うのだが、誰もその話に乗ってこなかった。

次に不幸が起きた時に、自分が被害者になるのは、誰だってイヤだ。

それでも、結局、3か月に及んだ入院生活の最後の頃に、Kは、病室に友達を集めて、話をする会を行おうとした。

そして、その日、Kの病室に友達みんなが集まり、さぁ、話を始めようとした瞬間、病棟に非常ベルが鳴り響いた。

病室で焼身自殺をしようとした入院患者がボヤを起こして、騒ぎになったのだ。

患者は、うつ状態の高齢者だった。

当然、会はもちろん中止になった。

 

「やっぱり、あの話は誰にも話してはいけないのかもな」

 

Kはみんなの前で力なくつぶやいた。

「誠はどう思う?」

「ごめん。僕には、わからない。

でも、話すだけで禍を起こす話は、実在すると思う。

Kの話がそれなのかは、わからないけど」

退院してしばらく経った頃、Kは今度は自分の家で、怪談の会を開こうとした。

当日、Kの家では死者が2人でた。

まず、同居していた祖母が、なぜか農薬を誤飲し、事態に気づいて、救急車を呼んだKの父親が、祖母を救急者に乗せるのを手伝おうとして、アスファルトで転んで、頭を強く打って、その日のうちに死亡。

さらに、Kの母親が、祖母がフタを開けたまま、置きっぱなしにしていた農薬を誤飲し、母はその場で死亡した。

結局、救急車を呼ぶ原因になった祖母だけが、助かったのだ。

2階のKの部屋に集まっていた、誠たち、Kの友達たちは、Kの家で繰り広げられた惨劇にあ然とするしかなかった。

両親と祖母が救急車で運ばれていく状況の中、Kは、友人たちの前で何度も、何度も、

 

「オレのせいだ。オレが話そうとしたからだ」

 

と繰り返した。

不幸を呼ぶ話の力を目の当たりにして、誠は、「この話は、「語るのも、聞くのもいけないもの」だ」と思った。

簡単に人の命を奪う力を持つ怪談なのだ。

例えれば、かならず聞いた人を笑わせる話、泣かせる話と同じような、魔法の話なのかもしれない。

その後、Kはオランダでの不思議な体験についてはまったく口にしなくなった。

あれから20数年が過ぎたいまも、Kにその話を聞いたものはいない。

 

END

 

☆☆☆☆☆

 

11話めは以上です。

この100物語は、私が聞いたり、体験してきた怪談と創作のミックスみたいな感じです。

これまでのブログ同様、ご意見、ご感想、お待ちしてます。

 

 今日も楽しいですね。

 

これは外国で誰にも話さない秘密の経験をしてきた話と、救急車を呼んだのに関係のないはず人たちが、ばたばたと死んでしまった話。2つの実話のミックスです。

Kのモデルから、私はまだオランダでのすごい話を聞いていません。

たぶん誰も聞いてないはず。

 

 

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