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100-55 死神

100-55 死神

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「死神って本当にいると思いますか?

ぼくは思います。

ええ。

そうです。

それらしいヤツと会った経験があるんです。

貧乏神とか疫病神でなくて、死神です。

会った瞬間に、こいつが、それだってわかりました。

蛇に睨まれたカエルじゃないですけど、生物としてかなわないっていうか、コイツにやられるって、感じたんです。

いや、たしかにぼくはまだ生きてますよ。

死神と出会ったのに、いまもこうして生きているんですから、ぼくはかなり幸運なんだと思います。

ヘタしたら、ぼくの幸運はアレで、もう使い果たしたのかもしれません。

以前、ぼくは中部地区の山奥にある某工場に勤めてました。

川の上流の原生林みたいなとこにある工場です。

勤務は三勤交代で、夜勤もありました。

あのへんは、ほとんどジャングルみたいなもんですから、夜は真っ暗です。

田舎ですけど、人気のないああいう場所ですから、レイプや殺人事件の現場にもなってるとこなんです。

これと死神とは別の話で、女の幽霊がでる、ってうわさを聞いて、会社の仲間と見に行った時もありました。

そうしたら、川の上流の岩ばかりで道路もないようなところに、いかにもここが事件現場ですよって感じに、花束が置かれていて、そこに大きな、等身大の女の人形が置いてあったんです。

あれをなにも知らないで深夜にみたら、幽霊だと思いますね。

ぼくは、仲間と一緒だったし、せっかくなので、側へ行ってその人形をよく見ましたよ。

人形、といっても、その、ダッチワイフですが、それが置かれてました。

全裸で、股間にいたずらされてました。

つまり、そういうものが転がってるような、荒れてる、人里離れた場所なんです。

その日、準夜勤というシフトで、ぼくは夜中の3時くらいに仕事が終わって、車で帰宅しようとしたんです。

ちょうど、同じ方向へ帰る人もいなくて、ほぼ暗闇の中を一人で車を運転していました。

たしか、深夜放送のラジオの音が流れてましたね。

で、原生林を慎重に運転していると、なんか車内の空気が重いんです。

いつもと違うというか、で、ぼくは、そいつに気づきました。

バックミラーにそいつが写ってるんです。

ぼくはわざと振り向きませんでした。

バックミラーが正しいのなら、そいつは、ぼくの車の後方の宙に浮いてるんです。

ガイコツですよ。頭部だけのガイコツが浮いてるんです。

その目は真っ暗でした。

眼球がなくて暗黒なんです。

暗闇というか、眼窩の中に、まるで宇宙があるみたいでした。

そいつが、宙に浮いてぼくの車についてきてるんです。

ぞっとしましたよ。

ぼくは車のスピードを上げられるだけ上げました。

一瞬でも気を抜けば、事故を起こしていたと思います。

とにかく、そいつに追いつかれたくなかった。

早く山林を抜けて、市街地にでたかったんです。

そんな状況下で、ぼくは死神を気にしすぎないように、わざとラジオの音を意識していました。

深夜のジャングルで死神に追われながら、猛スピードでドライブです。

いま思い出しても、怖くなりますよ。

そして、やがて山を下りて、車が市街地に入った頃、ぼくは赤信号で車を停める前に、ちょっとだけ、後ろを振り向いて、確認しました。

そいつは、もういませんでした。

ほっと、しました。

いまの話が一度めです。

 

それで、最近、ぼく、またあいつに会ったんです。

つい、ほんのこの間ですよ。

夜中に自分の家の近所のコンビニへ行ったんです。

で、その帰り道、あいつが普通に住宅街の中をふわふわ漂っているのを見かけたんです。

また首だけでした。

深夜の人のいない住宅街に浮いてたんです。

ぼくはあれに気づかれないように息をひそめて、歩く方向を変えました。

しばらくして、離れた場所からそっとみたら、あれはまだ浮いてましたが、そのうちに流れるように、どこかへ行ってしまいました。

やっぱり、あれは死神ですよ。

あの日、あの後、あのへんで火事があって人が死んだんですが、きっとあいつがきたせいでそうなったんだと思うんです。

鈴木先生も、あれと会ったことありますか?

先生、今度、ぼくがあれに会ったら、どうすればいいんでしょうか?」

青年の問いに、誠は一言だけこたえた。

 

「逃げろ」

 

END

☆☆☆☆☆
55話めは以上です。


この100物語は、私が聞いたり、体験してきた怪談と創作のミックスみたいな感じです。

 

実話ベースです。知り合いに聞いた話です。

死神をみた具体的な場所もわかるのですが、さすがに行く気にはなりません。

 

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