脳出血した中高年のための怪談100物語 → 鈴木誠の怪談100物語の タイトルで小説投稿サイト、アルファポリスと同時更新中です。 サイドバーに「アルファポリスリンク」へのリンクがあります。 広告

100-60 オススメ

100-60 オススメ

 

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「この店は、とにかくヤバイんで、鈴木先生をぜひ一度、連れてきたかったんですよ」

 知り合いのMの青年に勧められて、誠はMと近所の中華料理屋へ行くことになった。

 Mによると、この店はへたな霊現象よりもよほどヤバイのだという。

「まず、本格中華料理店とか謳っているのに、店の名前が、〇〇〇ン。

 名前からして中華であって、中華じゃないような微妙さなんです。

 しかも店を切り盛りしてるオヤジさんは、どうみても日本人の冴えないオヤジだし。

 どこが本格中華料理なんだか」

「料理がおいしんじゃないの?」

 Mがあまりにけなすので、誠はついフォローにまわってしまった。

「それが、すごいんですよ。

 餃子がここのウリらしんですけどね。

 スタミナ餃子。

 中に、ろくに火の通ってない生のにんにくが、ほぼ1個そのまま入ってるんですよ。

 あんなもの料理じゃありませんよ。

 とにかく、ただごとじゃないんです。

 ほとんど怪奇現象です。

 ラーメンに、シナチクもチャーシューものってないんですよ。

 それでいて具は、あの出来あいの山菜がそのまま、水を切らずにぶちこんであるんです。

 料理なめてますよ。鶏の唐揚げなんか生焼きで、生の鶏肉が衣の下にあるんです」

 「Mくんは、僕になにを体験させたいわけ?」

 聞いているうちに、誠は心配になってきた。

 霊能者ではあるが、別に胃腸は人並みである。

 おかしなものを食べれば、腹も壊すし、戻しもする。

「鈴木先生に、〇〇〇ンの異次元っぷりを味わって欲しくて」

 さて、〇〇〇ンは外装からして個性的だった。

 全体を黄色のペンキで塗りたくった、まるでカレーハウスのような見た目だ。

 店内に入ると、暗く、どこか埃っぽかった。

 営業中だが、客はいない。

 Mにすすめられるまま、誠は席についた。

 そきほどMが話していた、痩せた貧相なオヤジさんが、奥からでてきた。

「ラーメンと餃子、2つずつ」

 Mが注文した。

 誠は、店内を見回して、通路に、ダンボールに入れられた野菜が放りだしてあるのをみつけた。

 ジャガイモンは芽がでているし、キャベツは変色している。

「おいおい、

 この店、保健所に摘発されそうじゃないか?」

「先生、すごでしょ?

 だから、潰れる前に1度、食っとかないと」

 たいして待たされずに料理がきた。

 噂の餃子は、1つ1つがけっこう大きい。

 ラーメンは、茶色い、どんよりしたスープに本当に山菜が入っていた。シナチクもナルトも、チャーシューもない。

「先生。ほら、これ」

 Mが餃子をかじり、中に巨大なニンニクが入っているのを誠にみせた。

 たしかにニンニクは生にみえた。

「これ、僕、食べないといけないのか?」

 誠はすでに腰がひけている。

「じゃ、ラーメンいきますね。

 おおっ、相変わらず、意味不明な味がしますね。

 なんのスープなんですかねぇ、これ。

 おおっ?

 なんか具が底に入ってる?

 隠し味かな。

 なんだ、これは……

 うわぁっ!!」

 いきなりMが叫んだ。

 隣にいる誠は驚いてMをみた。

 Mがラーメンのドンブリからだした箸には、奇怪なものが挟まれていた。

 それは、長さ1センチ足らずの人間の指先だった。


 「うあおおおおお!!」

 
 Mが興奮して吠えている。

「オヤジさん。ちょっと、ちょっと」

 誠は慌ててオヤジを呼んだ。

 オヤジがのそのそと誠たちのところへやってくる。

 オヤジの指先には、さっきまでなかった絆創膏がはられていた。

「どうかしましたか?」

 平然と聞いてきたオヤジに、Mが箸に挟んだまま、指をみせた。

「これ、これ、ラーメンにはいってたよ」


 オヤジは表情を変えず、

「それ、わたしの指です。

 隠し味よ」


 
  END

 


☆☆☆☆☆

 60話めは以上です。

 この100物語は、私が聞いたり、体験してきた怪談と創作のミックスみたいな感じです。

 実話ベースです。
 
 何回かあのお店に行きましたが、僕は腹痛に見舞われました。

 いまでも、あるのかな?
      
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